人に聞きにくい「セルフプレジャー」について

マスターベーションがやめられない

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性のこと

公開日:2024年11月7日

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この記事でわかること
関連する診療科

産婦人科(婦人科)では、生理痛がひどい、経血の量が多い、PMS(月経前症候群)、おりものの異常(色が変、量が多い、においがする)、性感染症、妊娠、不妊症などについての相談ができます。基本的にどんな年齢の人でも受診することができ、中学生や高校生で生理についての相談に行く人もたくさんいます。必要に応じて痛み止めや低用量ピルの処方を受けられます。HPVワクチン(子宮頚がんワクチン)を受けることもできます。

泌尿器科では、おしっこすると痛い、おしっこの回数が多い、尿漏れがある、おねしょ、外陰部に痛みがある、外陰部にイボがある、ペニスについての悩み(包茎、大きさやかたち、勃起や射精ができないなど)、陰のうについての悩み(精巣がはれている、痛いなど)、性感染症、不妊症などについて相談することができます。赤ちゃんから高齢者まで、どんな年齢の人でも受診可能です。必要に応じて尿検査や超音波の検査を受けることがあります。飲み薬や塗り薬の処方を受けられます。

精神科では、こころの症状や発達障害について診療を受けられます。長く続く気分の落ち込み、物事に集中できない、死にたくなる、衝動がおさえられない、といったことを相談できます。また、学校に行きたいのに行けない、リストカットなどで自分を傷つけたくなる、ネットやゲームから離れられず他のことができなくなる、市販薬などを大量に服薬したくなるなど、自分ひとりでは解決するのが難しいことへの手助けも受けられます。どんな年齢の人でも受診可能ですが、小学生、中学生、高校生は児童精神科を受診することで、より年齢や発達に合わせた専門的な診療を受けられます。医師や臨床心理士に自分の悩みや困りごとについて話すことができ、各種心理療法や必要があれば飲み薬の処方を受けられます。

性に関する話のなかで、「マスターベーション」は特に、友人や家族と話題にしにくいテーマなのではないでしょうか。情報を求めてネット検索しても、どれが本当かわからない……。「これは本当? それとも都市伝説?」。気になるマスターベーションについてよく知って、不安な気持ちをなくしましょう。

なぜマスターベーションをしたくなるの?

「マスターベーション」とは、自分の性器や、自分が性的に気持ちよくなれるからだの部位を触ったり、性的な空想をしたりして快感を得ることをいいます。「自慰行為」とか「オナニー」などとも呼びますが、最近はポジティブな意味を込めて「セルフプレジャー」(「自分を喜ばせる」という意味)と呼ぶことが増えてきました。

思春期に入って始める人が多いというイメージがあるかもしれません。マスターベーションをしたくなる理由のひとつに、第二次性徴が始まりホルモンの影響で性的な欲求が出てくるからということがあります。しかし、すべての人がそうなるわけではありません。したくならない人もいますし、一生しない人もいます。逆に、落ち着ける空間で性器を触るとなんとなくリラックスできるため、小さなころから自分の性器を触ってきたという人もいます。どれも悪いことではないですし、間違いでもありません。「○○だから自分はおかしいのではないか」と思う必要はありません。

1日に何度もしてしまう、やめられない……これっておかしいの?

なんとなく暇なとき、イライラしているとき、勉強の合間に……。1日のうち何度もマスターベーションをしてしまうこともあるかと思います。なかには「やめられない自分は病気なのではないか」「頭が馬鹿になってしまうのでは」と悩む人もいるかもしれませんが、何度もしてしまうからといって病気になったり、脳に影響を受けたりすることはありません。ネットなどで「やりすぎるとホルモンが出すぎて死ぬ場合もある」などの情報が出てきますが、そのようなことはありません。

「やりすぎると性器が黒ずむ」「しないで精液をためすぎるとからだによくない」「ニキビや抜け毛が増える」「身長が伸びなくなる」「生理不順になる」などの情報もありますが、いわゆる「都市伝説」です。そのようなことはないので、したい人はする、したくない人はしないで大丈夫です。適切なペースは人それぞれなのです。

ただし、マスターベーションに夢中になるあまり食事をしなくなったり、学校に行けなくなったりするなど日常生活に支障をきたすような場合は、こころがストレスを抱えてマスターベーションに依存してしまっている可能性があります。運動や趣味など、他に気晴らしができる方法を見つけることも難しい場合、信頼できる大人に相談し、精神科など医療機関を受診してみましょう。

強すぎはNG、手指は清潔に、ひとりだけの空間で

自分を喜ばせる「セルフプレジャー」、自分を慰める「自慰行為」という名前のとおり、マスターベーションは個人のとてもプライベートな行為です。自分の部屋や浴室、トイレなど、必ずひとりきりになれる場所でしましょう。他の人が目にすると嫌な気持ちになることがあるからです。またマスターベーションをすることを誰かに強制することは性暴力にあたります。絶対にやめましょう。

する前には必ず手を洗い、爪を切るなどして手指を清潔にしましょう。その人ごとにさまざまなやり方があるかもしれませんが、強く握りすぎるなど性器に強い刺激を与えることはNGです。特に床など硬いところに性器をこすりつけるのはやめましょう。続けていると実際にパートナーと性交渉を持つときに射精ができなくなったり、快感を得にくくなったりします。

罪悪感は不要 自分や相手のからだを大切にできる行為

マスターベーションをすることに対して罪悪感を持ったり、自分を汚れている、恥ずかしいと思ったりする必要はありません。自分のからだをより知ることができますし、ホッとしてよく眠れることもあります。また、性欲をコントロールでき、自分で自分を満足させ、パートナーなど相手を傷つけないようにすることもできます。誰かと性行為をせずにマスターベーションだけをしてもいいですし、逆にしたくない人はずっとしなくても、なんら問題はありません。

自分のからだとこころに向き合い、自然な行為として付き合っていきましょう。