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産婦人科(婦人科)では、生理痛がひどい、経血の量が多い、PMS(月経前症候群)、おりものの異常(色が変、量が多い、においがする)、性感染症、妊娠、不妊症などについての相談ができます。基本的にどんな年齢の人でも受診することができ、中学生や高校生で生理についての相談に行く人もたくさんいます。必要に応じて痛み止めや低用量ピルの処方を受けられます。HPVワクチン(子宮頚がんワクチン)を受けることもできます。
皮膚科では、ニキビ、イボ、シミやソバカス、かゆみ、日焼け、やけど、頭の毛が抜ける、フケが多い、むしさされなど、皮膚の症状についての相談ができます。外陰部のイボの治療も受けられます。飲み薬や塗り薬の処方を受けられ、必要に応じて手術を受けることもできます。
泌尿器科では、おしっこすると痛い、おしっこの回数が多い、尿漏れがある、おねしょ、外陰部に痛みがある、外陰部にイボがある、ペニスについての悩み(包茎、大きさやかたち、勃起や射精ができないなど)、陰のうについての悩み(精巣がはれている、痛いなど)、性感染症、不妊症などについて相談することができます。赤ちゃんから高齢者まで、どんな年齢の人でも受診可能です。必要に応じて尿検査や超音波の検査を受けることがあります。飲み薬や塗り薬の処方を受けられます。
自分の性器の色やかたちは、ほかの人と比べてどうなのだろう? 「正常」なのか、「異常」なのか。もしも「異常」だったら、どうしよう……。人には相談しづらい自分の性器の見た目について悩むユースは、専門家によると決して少なくないようです。においが気になるという人も。性器の見た目やにおいについてどう判断すればいいのか、知っていれば不安が軽くなるのではないでしょうか。
※この記事での「男性器」「女性器」とは、生まれたときに男性・女性と判定された人の多くが持つ性器のかたちを指しています。
女性器の悩みで受診すべきケースは?
女性器について、誰にも相談できずに悩んでいる人は、子供も大人も少なくありません。
女性器の名前は、口にしづらいと感じる人も多いのではないでしょうか。その理由としては、女性は「性」を隠すべきとされてきた時代が長かったこと、男性器と比べると体の外からは見えづらいので、何となく隠されているという感覚があること、などが考えられます。
男性器について話題にするのはいいけれど女性器はだめ、などということはもちろんありません。
性教育を行う専門家のもとには様々な相談が寄せられます。
「色が黒ずんでいるから恥ずかしい」
「人よりもフチの部分(大陰唇)・ヒダの部分(小陰唇)が大きすぎるのではないか」
「クリトリス(陰核)が長くて、正面から見えてしまっているが異常なのではないか」
「陰毛が多く、毛深くて嫌だ」
など悩みの内容は多様ですが、その多くは性器が異常だからというわけではありません。
性器は、手や足と同じようにからだの一部です。一人ひとり顔のつくりや肌の色が違うように、性器のかたちや色は様々です。どのかたちが優れているとか劣っているとかはありませんし、「こうあるべき」という外見もありません。
ただし、例えば自転車に乗るとこすれて痛いとか、赤く腫れていてかゆいとか、生活への支障や苦痛がある場合は、産婦人科を受診してみましょう。
また、性器のにおいには個人差があり、生理前に特に強くなることもありますが、誰もが多少はあるものです。一方で、強い悪臭や生臭いにおいが気になるときや、おりものの色やにおいがいつもと違うと感じるとき——おりものがいつもよりサラサラしている、または逆にネバネバしている、量が増えたなど——も、受診してください。からだの不調や感染症の可能性があります。
男性器の大きさや曲がり方、気にしてしまうけれど……
男性器の場合、勃起時のペニスの長さや太さなどの大きさ、包茎かどうかなどを気にしている人は多いのではないでしょうか。
ペニスの大きさの平均についてまとめた研究結果はありますが、それは専門家の医師などが厳密に測った記録になります。自分自身で正確に測ることは難しいですし、そもそも長ければいい、短いとだめ、などということはありません。また、左右どちらかに曲がっている場合もありますが、ほとんどの人は個人差の範囲で、問題はありません。ただし、まれにカーブの角度が大きく、性交時にパートナーが痛みを感じるなどの場合は、治療の対象になりますので泌尿器科を受診する必要があります。
陰茎の亀頭部が皮をかぶっている「包茎」は、「知ってる? 泌尿器科・産婦人科のかかり方」の記事でもお伝えしたとおり、すべてのケースで受診しなければならないわけではありません。自分でむこうとしても皮がむけない「真性包茎」で、ペニスの先がよく腫れる場合(亀頭包皮炎)や、においが気になる場合、おしっこがまっすぐ飛ばず、便器の外などに飛んでしまうなどの場合は相談してみるといいでしょう。また、普段包茎の人が皮をむいてそのままにしたときに、むいた皮がむくんで亀頭を締め付けてしまう「嵌頓(かんとん)包茎」は、急いで治療を受ける必要があります。
男性器も女性器と同様、においがおかしいと思うとき、いつもとは違う分泌物があるときなども、泌尿器科を受診して相談することをおすすめします。
「普段の自分の性器」を知っておけば、病気を予防・早期発見できる
性器のかたちや色などの見た目は人それぞれで様々ですし、多くが生まれつきの違いによるものです。中には性染色体の多様性や、ホルモンの働きなどによって、からだの内側の「内性器」、外側の「外性器」が大多数の人とは違う発達の仕方をする場合があります。性の多様性について取り上げた「私たちの性の多様性を考えてみませんか?」でも触れたとおり、生まれたときの性器を主としたからだの特徴から判定された性別と、自分で認識する性別が一致しないという人もいます。性器は他のからだの部位同様、一人ひとり異なります。性器に関することは、とても大切なプライバシーでもあるのです。
そんな自分の性器について、普段のかたちや色を把握しておくことで、思わぬ病気を防いだり早期発見したりすることができます。お風呂に入るときなどに、鏡を使って自分の性器を観察してみてもいいかもしれません。
・女性器はクリトリスや大陰唇・小陰唇が腫れたり赤くなったりしていないか、確認してみましょう。
・男性器の場合、湯船の中など温かい場所で柔らかくなっているときに精巣を触ってみましょう。精巣がんは若い人でもかかることがある病気です。いつもより大きくなっていたり、しこり(コブ)を見つけたりしたら、泌尿器科を受診してください。
・性交経験がある人は、性器に発疹や、小さなプツプツができていないか見てみましょう。性感染症にかかると発疹ができる場合があります。発疹などがある場合は産婦人科、泌尿器科、皮膚科を受診しましょう。
肌や髪などと同じように、性器もときどき気にかけてチェックしつつ、ありのままの自分の一部として付き合っていってください。