親との関係

「親ガチャ」という言葉から解放され、自分らしく生きるヒント

「親がうざい」と思っているあなたへ

SOS
こころのこと

公開日:2025年7月30日

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この記事でわかること

親との関係に悩んだり、モヤモヤしたりするのは、成長していく過程で多くの人が経験する、ごく自然なことです。でも、SNSで気軽に「親ガチャ外れた~」なんて言葉が飛び交うのを見ると、自分の悩みが深刻なのか、それとも軽いものなのか、わからなくなってしまうこともあるでしょう。 そんなあなたが抱える親との関係について「気持ちの向き合い方」や「自分のこころを守るために何ができるのか」考えていきましょう。

親に不満があるのはおかしいことではない

経済的、金銭的に親に頼らざるを得ないことはわかっている。でも、親に対して「うざい」と感じたり、時には「いなくなればいいのに」とまで思ってしまったり…。そんな自分に気づいて、あなたは罪悪感を持ってしまうかもしれません。

「好きだけど、どうしても許せない」「普段は感謝しているけど、今は顔も見たくない」…そんな揺れ動く気持ちが、いつの間にか悩みになってしまっている人もいるでしょう。でも、そんなふうに思うことは、ぜんぜんおかしなことではありません。だから、「親に不満のある自分が悪い」なんて、決して自分を責めないでください。

親との関係は、誰よりも近いからこそ、良き理解者として期待もするし、その分ぶつかったり、イライラしたり、深く傷ついたりしやすいものです。それにも関わらず「親だから」と自分の感情を抑えすぎてしまうと、つい強い言葉が頭に浮かんでしまうこともあるでしょう。これは、あなたが自分のこころを守るために行う自然な反応でもあります。

「親ガチャ」に共感する気持ちの背景

SNSなどでよく聞く「親ガチャ」という言葉。これは、「親や家庭環境は自分では選べない」という、どうしようもない “もどかしさ” や “不公平感” を、硬貨を入れるとカプセルに入ったおもちゃが出てくる自販機の「ガチャガチャ」やソーシャルゲームの「ガチャ」に例えて作られた、いわばネットスラングです。

SNSなどで周りに合わせて使っているケースもあれば、「他の家はもっと自由なのに、うちはどうして…」と、他人と比べて不満を感じている人もいるかもしれません。なかには、親との関係に悩み、日常的に強いストレスを感じている人もいますし、場合によっては、心身に深い傷を負うような、深刻な状況に置かれている人もいるかもしれません。

親との関係、どう向き合う? 〜対話・相談の選択肢〜

では、親との関係にモヤモヤを感じた時、具体的にどうすればいいでしょうか?選択肢は一つではありません。あなたの今の気持ちや状況に合わせて、いくつかの方法を考えてみましょう 。

親に話してみる、伝えてみる

親を説得するのは、簡単ではないことかもしれません。「どうせ言っても無駄だ」と感じる人もいるでしょう。でも、もしかしたら、「話してみたら意外とわかってくれた」ということもあるかもしれません

伝え方を工夫してみるのも一つの手です。例えば、自分ひとりで考えたこと、思ったことだけでは親には伝わらないこともあります。そんな時は自分の意見だけでなく、学校で聞いたこと自治体のHPなどで得た客観的なデータを見せるのもいいかもしれません。

今から真面目な話がしたいことを事前に伝えておくのもいいかもしれません。事前に伝える手段は口頭でもメッセージを送るでもいいでしょう。

第三者に相談する

つらい気持ちを一人で抱えきれなくなった時、「誰かに助けを求める」ことは、決して弱さではありません。むしろ、自分の状況を客観的に見て、助けを求めることができるのは、とても大切な「強さ」です。

例えば、話を聞いてくれそうな学校の先生、近くの相談窓口、あるいは信頼できる親戚や近所の大人など、親以外の頼れる存在を探してみましょう 。

もし身近にそういう人がいなくても、心配しないでください。日本には、無料で、名前を言わずに匿名で相談できる窓口はたくさんあります 。電話だけでなく、チャットやLINEで相談できるところもあります。
東京都には、匿名で相談できる「ギュッとチャット」という相談窓口(https://gyutto-chat.metro.tokyo.lg.jp/child?tokyo-youth-healthcare)があります。

あなたが話しやすい方法を選んでみてください。

ただ、SNSなどを介し、親身になって話を聞くふりをして近づいてくる犯罪者には注意が必要です。「自分のことをわかってくれる」と感じても、すぐに個人情報を教えたり会ったりせず、少しでも不安を感じたら、信頼できる大人や相談窓口に話してみましょう。

「相談しなくてもいい」気持ちの整理術

「誰かに相談するなんて、やっぱり勇気が出ない」「話してもわかってもらえないかもしれない」。そんなふうに感じて、相談することをためらってしまう気持ちはあると思います。そんな時は、無理に誰かに話さなくても大丈夫。まずは「自分の気持ちを整理する」ことから始めてみましょう 。

大切なのは、自分の感情を否定せずに「自分は今、こう感じているんだ」と認めてあげること、その上で、自分の気持ちを整理する方法をいくつか試してみてください。

例えば、ノートやスマホのメモ、誰にも見せないSNSの下書きに、今の気持ちをありのまま書き出してみてもいいかもしれません 。書くことで、自分の気持ちを客観的に見つめることができます

また、自分のよくわからなくてモヤモヤしている感情に「怒ってる」「悲しい」など名前をつけるのも効果的です。

それから、ストレッチやジョギングなど軽くからだを動かしたり、呼吸を整えたりするだけでも、こころに少し余裕が生まれるでしょう。

「親と距離をとる」という選択肢

もし、親と関わることで、傷ついたり、疲れてしまったりすることが続くのなら、少し距離をとってみるのも、自分を守るための立派な選択肢です 。どんなに近しい親子関係であっても、お互いを尊重するための「境界線(バウンダリー)」は必要です 。「距離をとる」といっても、方法はいろいろあります。例えば、一緒に過ごす時間を少し減らしてみる。必要最低限のことだけを話すようにする。あるいは、進学や就職を機に、物理的に距離をとるなど。大切なのは、自分が「これなら少し楽になれるかも」と感じられる距離感を見つけることです。そうしたら、冷静に「親との付き合い方」を見直せるでしょう。

最後に

親に対する気持ちは、簡単には割り切れない複雑なものです。だからこそ、悩むのも当たり前のこと。「親ガチャ」という言葉でしか表現できないほどのつらさを感じることもあるかもしれません。でも、どんな状況であっても、あなた自身の人生はあなたのものです。

今回、紹介したように、あなたにはたくさんの選択肢があります。あなたがあなた自身を大切にし、自分らしく生きるためのアクションを起こせる方法を選んでいきましょう。

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