- この記事でわかること
-
「このキャラが出れば完璧!」「もう1回だけ……」。そんな気持ちでオンラインゲームのガチャを回したことはありませんか? 出なかったら悔しいし、出るまでやりたくなる。それって、実はちょっと危ないサインかもしれません。
お金をかけて、当たり・ハズレに一喜一憂し、繰り返してしまう。この感覚は、実はギャンブルととても似ています。「楽しいはずのゲームで、自分がコントロールできなくなっているかも」と少しでも思ったら、いったん立ち止まって、自分の状況を見直してみましょう。
もちろん、ガチャを回すことが悪いわけではありません。でも、「気付いたら何回も回していた」「やめようと思っても、手が止まらない」ってことがあったら、それはちょっと立ち止まって考えるサインかもしれません。
ガチャとギャンブル、どこが似ているの?
「ただのゲームなのに、ギャンブルと一緒にされるの?」そう思う人もいるかもしれません。たしかに、ゲームで当たるのはお金じゃなくて、キャラやアイテム。でも、ガチャとギャンブルには、よく似ているところがあります。
- Point
-
- ガチャもギャンブルも自分の意志ではコントロールできなくなる
-
ガチャやギャンブルで、脳内の「報酬系」と呼ばれる神経回路が活性化され、神経物質であるドーパミンが放出されると、ワクワク感や快感を感じます。この快感を追い求めていくと、次第にドーパミンが放出されなくなり、理性を司る前頭前野の働きも下がってきます。そのために、ますますガチャやギャンブル行動がエスカレートします。
スマホで簡単にアクセスできる時代の落とし穴
スマホひとつでいつでもゲームができるこの時代。こども家庭庁の「令和6年青少年の利用環境実態調査」によると、満10歳から満17歳の青少年で、スマホを使ってゲームをしている割合は73.5%にものぼります。「暇な放課後」や「通学中」「寝る前」など、ちょっとしたスキマ時間にもスマホを手に取ってゲームをしている人もいるでしょう。
ここで気をつけてほしいのは、「ほんの少しのつもりがいつの間にか続いていた」場合です。スマホがいつでも手元にあることで、「あと1回だけ」「もう少しだけ」が積み重なり、気付いたらお小遣いの範囲を超えていたり、夜更かしにつながっていたり。それは、自分自身をコントロールしにくくなっている可能性があります。
食事中、トイレの中、いつもスマホを触っちゃう|TOKYO YOUTH HEALTHCARE
また、「今日こそガチャはやめよう」って思ったのに、ついアプリを開いて回しちゃった。「もう寝る時間なのに、あと少しだけ…」で気付けば深夜になっていた。こうした行動は、あなたの意思が弱いからではありません。ガチャやゲームが「続けたくなる仕組み」で作られているから、誰でもそうなる可能性があります。でも、ちょっとした工夫で、その“流れ”を変えることもできます。たとえば、
・ゲームをする時間を決めておく(例:夜9時まで)
・スマホを使う場所を「リビングだけ」にする など。
これだけでも、「やりすぎかも」と気付きやすくなります。もし自分だけで難しいと感じたら、家族や信頼できる大人に協力してもらうのもアリです。
ちょっとでも「最近、自分やばいかも」と思ったら、それはちゃんと気付けている証拠。そこからどうするかが、自分を守る第一歩になります。
若いうちに始めた人ほどギャンブル依存になる?
ガチャに夢中になり、繰り返し課金してしまう行動はギャンブル依存ではなく、ゲーム依存に分類されます。ただ、「当たりが出たときのうれしさ」や「もう1回やりたいと思う気持ち」を繰り返すことで、刺激や快感を求めるクセが少しずつできていきます。それが、大人になってからギャンブルにはまる土台となる可能性があります。
国立病院機構久里浜医療センターが行った「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」(令和2年度)によると、ギャンブル依存になった人の中には、10代でギャンブルを始めていた人もいることがわかっています。若い人は、まだ脳やこころが成長の途中。だから「当たるかも」という思い込みにとらわれやすかったり、「やめておこう」と理性的にブレーキをかけるのが難しかったりします。
ギャンブルの問題は、もはや若い人たちにも無関係ではありません。
過去には、違法である「オンラインカジノ」で賭博をした高校生が書類送検されたケースもありました。オンラインカジノのサイトで現金や電子マネーなどを賭ける行為は犯罪です。刑法上の賭博罪(50万円以下の罰金又は科料)や常習賭博罪(3年以下の拘禁刑)に該当しますので、絶対にやめましょう。
ギャンブル依存の主な特徴
もし、ギャンブル依存になると、どんな症状が現れるのでしょうか。ここでは、主な特徴を見ていきましょう。
① 負けを取り戻そうと深追いする
ギャンブルに負けてお金がなくなった場合、多くの人は「ここでやめよう」と思えるのに対し、ギャンブル依存の人は「負けを取り戻そう」と勝つまで続けてしまう。
② 金銭感覚がおかしくなる
強い刺激と興奮を求めるようになり、一回の賭けに数万、数十万を使うようになる。金銭感覚がゆがみ、借金にも抵抗がなくなると、ギャンブルの借金をギャンブルで返そうと考える。
③ ギャンブルが生活の中心になる
ギャンブルを最優先に考えるため、食事や睡眠、学校や仕事といった日常行為がおろそかになる。現実の問題から目を背けるため、さらにギャンブルにのめり込む。
④ 家族に嘘をつくようになる
ギャンブルに依存するのはよくないという自覚があるため、周囲に嘘をつくようになる。ギャンブルに行くのに「仕事へ行く」と嘘をついたり、借金をしていることを隠したりする。
⑤ やめる意志があるのにやめられない
脳がギャンブルにとらわれているため、本当にやめたくてもやめられなくなる。罪悪感を増やしながらますますギャンブルにのめり込む。
将来の自分を守るために
あなたの大切な将来を守るために、今できることを知っておきましょう。モヤモヤしたり、「誰にも話せない…」と感じたりしたら、ひとりで抱え込まないでください。ゲームやスマホのことで悩んだ時にあなたの気持ちを聞いてくれる人がいます。
そして、万が一、大人になってからギャンブル依存になっても、支援してくれる専門機関や話を聞いてくれる相談窓口があること、ギャンブル依存は治すことができることを覚えておいてください。
■専門的な相談窓口
全国の依存症専門相談窓口と医療機関を検索することができます。
・全国の相談窓口・医療機関
10代に必要な情報や自分の悩みにあった相談先や居場所を検索できます。匿名の相談も可能。
■東京都の相談窓口
どこに相談したら良いか分からないような悩みは“ギュッとチャット”に相談。心理士や看護師、元教員など、多様な相談相手に匿名で相談できます。(相談無料)
インターネットやスマホでのトラブルや悩みの相談に電話・LINE・メールで対応します。ネットやスマホの依存に関する相談もお受けします。
こころの健康や依存症、思春期・青年期の問題に関する相談をお受けします。 お住まいの地域によって、相談先が異なります。
依存症や思春期などさまざまなこころの悩み相談に専門の相談員がLINEで対応します。
精神的な問題で困った時やつらい時は気軽にご利用ください。