運動でケガをしたときの正しい対処方法を知っていますか? すでにわかっていると思う人も、あらためてチェックしてみてください。
学校からの帰り道、右足を引きずるように歩くアカリを見て、ヒロトは心配そうに声をかけました。「大丈夫?」
体育の授業でサッカーをしていて、足首を痛めたみたい……。もうすぐ水泳部の大会もあるし、部活はあまり休みたくないんだけど……。
出た! あやふやなことをハッキリ教えてくれるモコフカちゃん!!
大事なこと、曖昧模糊なままにさせない! ケガをしたときの正しい対処方法は知っておいたほうがいいモ。ケガの回復が遅れる原因にもなるからね。
まずは痛めた部位を圧迫して動かないように固定すること、氷などで冷やすことなどが大事だモ。そして、なるべく早く病院へ行こう。できれば、スポーツ外傷に詳しい先生に診てもらうのがいいモ。いつ、どこで、どの部位を痛めたのかを認識しておくことも重要だよ。
お医者さんは、ケガをした日からの症状の変化で診断するからね。
- Point
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- 応急処置の基本はRICE
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R(Rest/安静)痛めた部位(患部)を動かさない
I(Icing/冷却)患部を冷やす
C(Compression/圧迫)テーピングなどでおさえる
E(Elevation/挙上)患部を心臓より高い位置に

私の場合は足首をひねった気がするので、捻挫かな。痛みはあるけど歩けるし、部活の練習もすぐにできそうな気がする。
いやいや捻挫を甘くみてはダメ!靱帯損傷や関節を支える軟骨を痛めている可能性もあるんだ。成長期前の小学生から中学生だと、靱帯が付着する骨から剝がれる剝離骨折をしていることも珍しくない。自分で判断せずに、病院で診てもらうこと。そこから、しっかり治さないと繰り返しケガをする「癖」になってしまう可能性があるよ。そうなると、つまずいただけで捻挫することもあるんだ。
まず、ただの打撲なのか、捻挫なのかを診断してもらうのが大事だよ。足首の捻挫なら、最低3日間は安静にし、医師が勧めたら関節を固定して様子を見たほうがいい。復帰を急ぐと再発の原因になるから気をつけないと。これは肉離れ、肩痛、腰痛といったケガでも同じだよ。頭を強く打ったときも、病院で診察を受け、経過を診ることが大事。焦ってはいけないよ。
部活を長く休むと、大会の出場メンバーから外されそうでちょっと心配……。
ケガが治る時間はなかなか短縮できないから、有効に使っていこう。ケガしているときにもできることはたくさんあるよ。たとえば、負傷した部位以外の部分を一つひとつ鍛えていくこと。ケガが完全に回復したときに、早く元どおりに動けるようなるためにね。
- Point
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- 早く競技に復帰するために大事なこと
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- 食事、睡眠を正しく取り、治癒能力を高める
- ケガした部位、ケガをしていない部位にそれぞれ適切な負荷をかけ安全にトレーニングし、体力を維持する
- 医師、トレーナーら治療者の指示を守る
リハビリが大切なのはわかっているけれど、チームから取り残されるような気がして不安になるよね。
ケガをしていても、他にできることがあるんじゃない?
発想を変えて、勉強する時間に充てるのも一つだよ。人生の選択肢が広がるかもしれないよ。団体競技ならチームの作戦を考えたり、練習の補助をしたり、仲間のサポートに力を注ぐのも大事なこと。リハビリ期間に新たな「気づき」を得て、成長のステップになる人もいるからね。

有効な方法の一つは、体のバランスを整える体幹トレーニング。ぐらつく場所で立つこともトレーニングになるよ。上半身、下半身がブレそうなときにおなかで支えるイメージでするといいモ。片足でスクワットするのは代表的なメニューかな。
体幹トレーニングって、姿勢をよくする効果やダイエット効果もあると聞いたことがある!
そうだね。あとは柔軟性を高めること。しなやかに動けるかどうかが重要になってくる。スポーツをする前には準備運動、ストレッチも忘れずにね。練習が終わった瞬間から、翌日の練習の準備が始まることも忘れないでね。
練習の後、なるべく早く水分やきちんとした栄養をとることが大事。運動後にはたんぱく質や糖質をとると、体力の回復を促し、筋力がつくんだ。手軽なのは、プロテインやおにぎりかな? 友だちとおしゃべりしながらでもいいけど、栄養をとってからクールダウンする習慣をつけるといいよ。これを「リカバリー(回復)」というんだ。そこをおろそかにしてしまうと、疲労につながり、ケガの原因にもなってくるモ。しっかり睡眠を取ることも大事だよ。
「凡事徹底」という言葉を知っているかな? 何でもないような当たり前のことを徹底して実践すること。毎日の積み重ねが、ケガを防ぐことにもつながるんだ。
わかった! きょうからモコフカちゃんのアドバイスを実践してみるよ!