生理中や生理前は、体調が悪くなったり、憂うつになったりすることがあります。将来就きたい仕事も、生理のせいで制限されるのかな? 生理のせいで活躍できなくて引け目を感じるのかも……そんな心配を抱える人や、「自分には関係ないかも」と考えている人に、いま、職場で起きていることを伝えます。
生理が近く、気持ちがちょっとナーバスになっているアカリ。
どうしたの、元気ないね。顔色もよくないよ(もしかして生理かな……)。
たぶんもうすぐ生理くる。気持ちがちょっと落ちてるよ。生理の話だけど、してもいい?
私、高校出たら大学行くか働くか、まだ決めていないんだけど。働いたらどんなかなって気になっちゃって。
私結構、生理重いほうだから、仕事中にナプキンこまめに替えられるかとか、気持ち悪くなって仕事に影響しないかとか、心配で……。
もしそうなったら、休みって取れるのかなぁ。はぁ……。将来ちゃんと働ける自信ないよ。生理のたびに休んでたら、休める日数どんどん減っちゃうよ。
そうだね……。でも体調のことだし、休むのは仕方ないんじゃないかな?
大事なこと、曖昧模糊なままにさせない! ふたりにもっと知ってほしい、「働く女性のウェルネス」のこと……!
ウェルネスというのは、健康(ヘルス)なだけでなく、よりよく(ウェル)生きるという意味だよ。
ウェルネスは、働く上ですべての人に関係あるモ。生理中や生理前のことだけじゃなく、妊娠、出産、病気やけが、更年期などなどあるけれど、体調と向き合って、仕事も私生活も楽しもうというのが、ウェルネスの考え方なんだ。
仕事でいうと、フレックスタイム制とか、テレワークとか、いろんな働き方があるって聞いたことがある!
お! いいね! 働き方の工夫だけじゃなく、ほかにも、たとえば生理で仕事ができないほどつらいときのために「生理休暇」があるんだよ。
今回はアカリちゃんが心配している生理のことや、生理休暇についてお話しするモ。
生理休暇は、会社の規則や仕事内容に関係なく、パートやアルバイトでも、生理で仕事ができないほどつらいときに会社に請求できる、法律で定められた休暇なんだ。
生理休暇、まだまだ知られていない?
うん、東京都が行ったアンケートでも、働く女性の半数以上が、生理休暇が法律で定められた権利だってことを知らなかったんだ。
だけど、「生理だから休ませてください」って会社に言うの、恥ずかしいよ。
ぼくも、アカリちゃんが部下だったとして、「生理休暇取りなよ」とは言いにくいかも。
気持ちはわかるモ。アンケートでも、生理休暇を使っていない人の理由として、「使っている人が少ない・いない」が44.9%、「上司や周りに言いづらい」が35.5%と、多かった。
企業によっては、生理休暇が無給であることも、生理休暇を使いにくい理由になっているかもね。
そうだね。それに、休まないといけないくらいつらい状況なら、月経困難症っていう病気の名前がつくし、他の病気(子宮内膜症など)が隠れていることもあって、将来妊娠しづらいからだになることもあるんだよ。生理休暇を活用して病院に行って、症状の改善につなげるのも大切なことだモ。
いま、さまざまな企業が、生理がつらい人でも安心していきいきと働けるようにするために、生理で休むことへの理解を広げたり、言い出しやすい環境をつくったりと、いろいろと工夫しているモ。
たとえば、
・言い出しづらいイメージを変えるため、生理休暇に、気軽に言える愛称をつける
・生理痛を再現する装置で実際に痛みを体験してみる
・従業員がからだのことについて学べる勉強会を開く
とかね!
なるほど! 生理のことだけじゃなく、みんなが働きやすくなるような取り組みをしてるんだね。
ヒロトくん、いい視点だモ! 職場ではいろいろな人が働いている。同僚が抱えている課題を解決できるよう一緒に取り組んだり支えたりできたらいいよね。
調子が悪そうな人がいたら「大丈夫?」「何かサポートできることはあるかな?」など、気遣うことは大事だよね。
それに、従業員が力を発揮できるようにサポートすることは、企業にとっても重要なことなんだモ。働くすべての人にとって、健康でよりよい状態、「ウェルネス」が実現できるといいよね。
それは本当にそう。体調や悩みは人それぞれだもんね。
- Point
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- 働くことと「ウェルネス」の関係
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- 生理で仕事ができないほどつらい人は、生理休暇を請求する権利があることが「労働基準法」で定められている
- さまざまな企業が、生理や健康問題に向き合っている
- すべての人にとって、健康でよりよく生き働く「ウェルネス」が大事
元気に社会人生活を送るために、10代からできる「ウェルネス」
モコフカちゃんのおかげで、社会人になったときの自分が少しイメージできたよ。無理しなくていい、ってね。
いまの私にできる準備って、あるのかな。
一番いいのはつらい状態がないことだよね。
10代のころから、気軽に相談できる「かかりつけの産婦人科(婦人科)」を持っておくのもいいモ。
特に10代は子宮がまだ小さかったり、子宮の筋肉が強く反応したりすることで、生理痛が重い人が多いんだ。早めに受診して治療しておこう。生理痛は低用量ピルなどの薬で軽減できるモ。
生理と上手に付き合っていくための「フェムテック」についても知っておこう。経血を吸い込んで漏れを防ぐ吸水ショーツや、経血を受けとめる月経カップなど、便利なグッズも活用できるモ。
ぼくも自分の健康を考えるのはもちろんだけど、具合が悪そうな人には、無理しないように声をかけたいな。あとは働くようになったら、会議に休憩を入れるとか! そういうところからみんなで思いやっていきたいな。
- Point
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- 10代のころから自分の体調と向き合い、つらいときには医師などの専門家に相談しよう
- 職場の「ウェルネス」実現のためには、みんなの理解と協力が大切
- 「働く女性のウェルネス」を詳しく知りたいときはこちらをチェック! 働く女性や企業へのアンケート結果や、企業の取り組み事例などを知ることができます。
■東京都産業労働局「働く女性のウェルネス向上委員会」
https://women-wellness.metro.tokyo.lg.jp/